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現地活動の際の留意点

《ボランティアの一員であること》

初めに述べたように鍼灸マッサージ師と言っても、ボランティアの一員です。最低限、守るべきルール、被災者の生活を妨げないための注意点、起こりうるトラブルへの対処法のチェックなどを行っておかなければなりません。 

*以下に紹介するHPなど、いくつかのHPで確認しておくとよいでしょう。

  • 内閣府 「ボランティアの作法」 
  • 日本トラウマティックストレス学会  
  • 日本看護協会 「ボランティアに行く前の準備」

《信頼関係の構築》

治療は、いきなり現地へ行って、すぐに開始できるものではありません。初めて見た人間に自分の体をあずけることができるでしょうか。新たな対人関係は、それだけでも被災者にストレスを与える事実に留意すべきです。始めのうちは治療にこだわらず、炊き出しの手伝いや挨拶など、通常の援助活動を通して信頼関係を構築することが求められるでしょう。また、周囲の援助者との連携の点からも、一泊二日などは避けたいところです。一方で、治療家の体調維持も求められるため、4日以上7日未満を推奨します。

《治療に入るコツ》

治療活動に入る際、血圧計や体温計などを持参することで、医療活動の一環との認識が得られ、緊張が解け、またそれらの数値を報告することで医師との関係を築く手助けになるかもしれません。普段はこういった器具を使用しないという方も、自分のやり方に固執しないことが求められます。

被災者にとって最善の方法をとれること、他の支援者との連携が、何よりも大切です。 

《自分を大切にすること》

甚大な災害です。遺体を目撃すること、ご遺族の悲嘆に直接触れることもあるでしょう。理不尽な怒りをぶつけられる可能性もあります。また、テレビでは見慣れていた瓦礫の山を自分の目で見ることは想像以上にショックなこともあります。そういった、自分が受けるダメージを覚悟していくこと、帰宅後に自分をケアできる方法を用意しておくことが大切です。また、現地へ飛び込んだ高揚感から、自身の疲労を無視し、過労に陥るケースもあります。無理をしないことが大切です。

《“良い前例”を作ること》

一つの土地に年単位で治療院を構えることと異なり、ボランティアは通常、期限があり、後任への引き継ぎがあります。現場へ赴く個々人が、鍼灸の世界を代表する心持ちで、腹を据えて、冷静に、自らの仕事をこなしていくことで、後任として後に続くボランティアの治療効率は格段に上がるでしょう。“良い前例”を作ることが大切です。

以上

[追記~活動に参加された方へ~]

現地での活動より帰宅された後に、こころの不調を感じられた参加メンバーの方がいらっしゃいましたら、ボランティアの臨床心理士が電話で相談を受け付けますので、ご連絡下さい。なお、期限・対応人数については未定ですので、ご了承下さい。